陣痛日記

もういろいろ忘れかけているのですが、
うろ覚えで陣痛〜出産のことを記しておこうと思います。
おもに下半身の痛みやら汚物の話なので、そういうのが苦手な方は読まないでくださいね。


4月3日(金) 
診察。
予定日を過ぎ、胎盤の老化。それによる羊水量の減少(破水ではない)。

顔がまじめすぎる院長(以下、股縫い先生と呼ぶ)の判断により、急遽夕方からの入院および、翌日に陣痛誘発剤での出産が決定。
50パーセントの確率で帝王切開の可能性もあると急に言われる。



陣痛カモン♪と歌いながら雨の中歩いて帰る。


スーパーで冷凍うどんを買う。


帰宅し、洗濯しながら前の日の残りのけんちんうどんの汁を温め、買ってきたうどんをぶっこみ、大量に食べる。
昼は軽めに食べろと言われたのに完全に無視。


風呂。


植物に水をやる。


ビビネコにすごく早いけど晩御飯をあげる。


洗濯物を干す。


五時前にタクシーを呼び(なんてリッチ!)、入院セットを持って病院へ。



五時、入院。


病院の変なピンクの服に着替える。

NSTを付けられて検査。なんかけっこうな腹の痛みをときどき感じますねぇという話をする。

血管確保。なんか前の日からこうやって血管に管とか入れられるらしい。左手に変なチューブつけられる。



六時半、晩御飯。翌朝は水と変なゼリーしか食べられない(麻酔とか使うかもだから)と聞き、

「うう、最後の晩餐…」

と思いながら食べる。



なんか五分おきにお腹痛くなる。

陣痛かどうかよくわからない(←アホ)。


とりあえずナースコール押してみて「さっきからなんか五分おきにけっこうお腹が痛いんですけど)と言ってみる。

五分おきにいててて、と休みながら完食。だって出産前の最後の晩餐だもの。

現在妊娠中の高校の友達に「なんか陣痛っぽいの来た。明日誘発で産むつもりで入院したら」とメール。

「ええー、誘発してないのに!」と返事来る。



そんなこんなのうちにもさ夫到着(入院の同意書にサインしてもらうため)。

なんか陣痛かもなんだ、という話。

ビビネコのトイレとかもさ夫の風呂とか着替えとかあるので、一度家に帰ってもらう。



八時。

もさ夫再度到着。


けっこうな感じでお腹痛い。出血もけっこう本格的な生理並にテンポアップ。
助産師さんに教えてもらった、ベッドに腰かけて背中を丸めてながーく息を吐く呼吸法で耐えしのぐ。



持ってきた赤マッキーとスケッチブックを取り出し、誰にも頼まれていないのに赤富士の絵を描く。


超下手。


ついでにもさ夫も赤富士を描く。こっちはたぶんご利益なし。



助産師さんがたまに見に来る。だけどだいたい「がんばって」とか言って帰る。


八時でジンパツ取りますね、と言われ、何のことかわからない。

聞いてみたら、陣痛発動?発生?だったかしら。「陣発」らしい。ここから出産がスタートするのかしらと思う。



助産師さんが何かいろいろ持ってくる。
手に手袋をして油を塗って、わたしの股をがっと開いて手を突っ込む。

なんやー!

と思う(そりゃそうやね)。

なんかグリグリ押されて(超痛い)、子宮口五センチ、と言われる。

おお。

三センチ開いた(今まですでに二センチは開いていた)。



その後まもなく陣痛の間隔は二、三分おきになる。
陣痛室へ移動。廊下の奥へ奥へと進む。陣痛室の隣は分娩室。




陣痛室ではテニスボールに座りながら痛みをこらえる。


「尾てい骨のあたりに固いウンチがあるような痛みがあっていきみたくなったら言ってください。それはウンチでなくて赤ちゃんの頭です」
と言われる。

なんか英語の例文みたいな文だなと思う。

そんなことを考えている場合ではない。

やたらとトイレに行きたくなる。
しかし尿はあんまり出ない。
トイレに行ったら途中で陣痛が来る。立ったまま痛みをこらえる。

たぶんこの時点で十時とか十一時とか(よく覚えていない)。


一度子宮口の開き具合を見るため分娩室の分娩台にあがる。

八センチ。


「まもなく全開になるから分娩室にいてもいいよ」と言われるが、
何をとち狂ったか「陣痛室に戻ります」と言う。


トイレに入り(やはり尿はあまり出ない)、結局もう痛みは一分間隔で、
またすぐ分娩台に戻りパンツ脱がされる。

NST取り付けられる。


変なリラクゼーションの音楽流れている。


正面に大きなモニター。

「緑の映像とイルカの映像とどっちがいいですか」と助産師さんが聞いてくる。
出産、と言えば海のイメージかなぁと考えて、イルカの映像にしてもらう。
なんだろうこのやりとり。
必要あんのかと思う。
必要ないだろ。

だいたいみんな「そんなのどっちでもいい!」とブチ切れるらしい。
そりゃそうだよね。

そんなこんなのうちに、「痛みが来たらいきんでください」って言われる。
あれ?
なかなかいきんでいいって言われないものじゃないの?と思う。
なんか噂に聞いていた出産と違う…
うまくいきめなくて苦労する。
痛みから逃げようとすると「痛いのから逃げない!」って怒られる。
「痛い!」と言うと「はいはい声出さない!もったいない!」って怒られる。
もったいなお化けが出そうな雰囲気。

しだいにおしりの下が痛くなってくる。ああ、この辺に力を入れればいいのか、と野生のカンで理解する。
このあたりから少しずついきめるようになる。

そのうちにふら〜っと灰色のスウェットを来た股縫い先生登場。

わたしの股のあたりをのぞいて、分娩室からすぐ出ていく(いつごろ生まれるか見当をつけに来たのか?)。

その後何回かいきむ。
助産師さんがいろいろてきぱき、わたしのおしりの下に白い紙を敷いたりする。
「赤ちゃんが出てくる準備、着々と進んでいますよ」と言われる。
どんどん何かが進んでいるような感覚だけはある。

超痛い。

「これ本当に終わるんですか?」って何回も聞く。

永遠の陣痛。陣痛という永遠…

君は永遠を見たことがあるかい?

わたしはあるよ…(何の話や)

やがて股縫い先生再度登場。
わたしの股を縫うためだけに、夜中に起こされた男…
産婦人科医って大変だなぁと思う。
医者にならなくてよかった、と心底思う(なれないからもともと大丈夫だった)。


この時点でたぶん0時少し前。まだ日付変わっていない。

股縫い先生が本気を出したのか、手術着みたいな青い服を着る。

いまさらだけど、もさ夫が手の消毒とかマスクとか変な防護服みたいのとか着せられていないことに気が付く。

きわめてライトな立ち合い…
ひたすらわたしに水分補給と、枕の高さを合わせるためだけにそこにいる。

…ジャージで。

手ぐらい洗ってもよくないかと思う。

股縫い先生が会陰切開。右下あたりを少し切られる。
「切りたくないって言ってたけど、切ります。その年で無傷で産もうなんて思わないでください。その年で無傷で産めるのはマサイ族とかの女性ぐらいです」
って言われる。
超痛いときにそんなに言わんでも…と思う。
麻酔打たれてチョキンされる。


助産師さんが「発露です」と言う。

わたしの生半可な知識によると、たぶん陣痛のときに赤ちゃんの頭が見えているとかそういう段階で、
まもなくつるんと出てくる雰囲気のはず。

いやいやそんなはずはない。
超痛いけどまだ生まれるはずがない。

「次の陣痛で思いきりいきんで」
助産師さんが言う。

適当にいきむ(だって超痛いから)。

何かがにゅるんと出る。

おぎゃあと言う泣き声(産声って言おうよ)とともに赤子が出る。

でかい。

あんなに大きなものがわたしの体に入っていて、
今出てきたとは思えない。

あれだ。
助産師さんが分娩台の下から取り出したんだ。

どうにもこうにも、「感動」という感じではなく、
「謎」みたいな気持ちに包まれる。


(疲れたからこの辺で一度切ります。気が向いたら続きを書こうと思います)