となりの大仏と貞子

となりの席に、あかんぼうを胸に抱いたお母さんが座った。あかんぼうは、わたしのほうを見て「あ、あ、あ」と言った。あかんぼうは、大仏様のような顔をしていて、あごのところがよだれでただれたように赤くなっていた(あくまで推定)。

そういえば、昨日は電車で貞子(『リング』参照)を見た。
電車に乗っているとき、わたしはつり革につかまっていて、目の前には座った貞子。
テレビから出てくるときの貞子。
髪が長くてばさっと前に来て、眠りながらゆらゆら揺れている。


貞子のとなりが空いたらヤダナと思ったら、やっぱり空いた。座る。揺れる貞子。
貞子の揺れは止まらない。わたしのひざの辺りに頭が来る。


貞子はわたしと同じ駅で降りた。すたすたと階段を上っていった。テレビから出てくるより、それはきっと簡単なことなんだろう。




図書館本、読了。