君の名は
土曜日、晴れ。
夕方図書館で予約の本を借り自転車置き場へ歩いていくと、黒い犬が自転車に結わえられていた。もちろんわたしの自転車ではなく、知らないひとの自転車だ。
黒い犬は暑そうに舌を出して飼い主を待っていた。
犬の話。
お昼休みに、ペットを飼っているかという話になり職場のひとりが「犬を飼っている、雑種のきたない犬」と言う。
名前は、と聞くと
「変な名前なんですけど」
「ん?」
「…神沼さん」
彼女いわく、犬は段ボールに入って捨てられていた犬で、段ボールにマジックで「神沼さん」と書かれていたと言う。拾う前から「神沼さんとこ行こうぜ!」と友達と言い合って通って遊んでいたというから、筋金入りの神沼さんである。
現在も神沼さん、カミヌマ、などと呼んでいるという。
名字か。
うちのビビさんも、ウーピー・ゴールドバーグって名前の予定だったからね。いろいろあるね。みんな。
図書館から。