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- 作者: 米原万里
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2005/10/20
- メディア: 文庫
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おもしろかった。長かったけどぐいぐい読めた。
チェコスロバキアのソビエト学校教師、オリガ・オリソヴナは天才的な舞踏教師だった。彼女の使う独特の反語法、明らかに年齢が過ぎているのに「50歳だ」と言い張る、仲の良い教師エレオノーラは妙に古典的な服装をしていて若干記憶力が悪い。その謎が少しずつ明らかになる。
たくさんの人間が出てくるので大変だった。中盤からは、語り手シマ(日本人女性でオリガの教え子)と合流したカーチャが、二人で多くの資料を読むという設定のため、資料文章から現実に話が戻ってくると、「あれ?この人誰だっけ?」みたいな本内迷子になった…。もう少し登場人物案内が多く欲しかったかも。そこをあまり気にしなければ大丈夫です(米原さんスミマセン)。
政府にとって危険分子となる人間は、とりあえず逮捕&拷問&流刑OR処刑という単純明快な静粛。ひどいものです。
印象的な場面はいくつかある。例えば、娯楽のないラーゲリで記憶の中の本を朗読するところ。人間には、どこにいても物語が必要なのだ。
がっつり長いので、年末年始に楽しむ本としておすすめ。
米原さんの本は、