八日目の蝉 (中公文庫)

八日目の蝉 (中公文庫)

妻子ある男性との恋愛の末に、希和子は男性の妻の赤ん坊を誘拐した。逃避行、その結末は……。誘拐された子供は大きくなってどうなっただろうか、というお話。

おもしろかった。次はどうなるのだろうと単純に展開が楽しみで読み進められた。

「罪」とはなんだろうか、とふと考えてしまう。他人の赤ん坊を盗むのは犯罪だ。では、結婚していながら他の女性との間に子供をつくり、おろさせ、実家にまでおいかけて来て、妻との間にも子供をつくるという行為は「犯罪」ではないのか(別に「いいよね男って勝手でプンプン」ということを言おうとしているのではない)?夫の恋人に嫌がらせ電話をかける妻の行為は犯罪ではないのか?資産を巻き上げながらも指名手配犯をかくまう宗教団体は本当に危ないのか?などなど。

赤ん坊を盗んだ女に共感を持ったわけではないが、心を傷つけても犯罪にならないのがこの世界なのかぁと思う。じゃあ心ってなんだ?魂ってなんだ?という話になるわけで。難しい。

ではこういう悲劇にならないためには、結婚しているならわかりやすいしるしが必要だなと思う。まゆげ剃るとか?嫌だなぁ。既婚と未婚とで着る着物の形が違うとかいうのは、悲劇防止のためだったのか。