手紙

手紙

図書館本。読了。


両親が死んで兄と二人暮らしの直貴。働きづめだった兄は体を壊し失業。弟を大学に行かせたい、その一心で強盗に入るが家の人間を殺害してしまう。刑務所から月一で送られてくる手紙。直貴の人生は、兄が殺人者となってから日陰、日陰を歩み始める。以下略。兄からの、読まれないはずの最後の手紙を読んだ直貴は……。




先日ある方にお会いしたとき、東野圭吾さんの話になった。『白夜行』『幻夜』はおもしろいよね、深キョンじゃないよね、などなど。そうそう、図書館から『手紙』を借りていた!東野さんの本が図書館書架にあることは非常に少ない。あっても既読だったりして。

おもしろかった。

おもに犯罪を犯した人間を家族に持つ者の苦しみを描いているのだが、ぐいぐい読ませる。社長の登場や由美子の勝手な行動なんかはだいぶ不自然だがまぁいいかなと思った。誰かを殺すということは、自分を社会的に殺し、家族が社会から疎外されることで永遠に罰されているのだと思った。とある少年少女が親に勉強を強制されていろいろあって、「親に迷惑をかけたかった」から犯罪を犯す、というような構図が、それだから成り立つのだなぁと。

こういう話を読んでいると、生まれながらの境遇で人生がもう決まってしまうんだなぁと思ってしまう。犯罪者の家族として生まれた人間は、永遠に犯罪者の家族だ。