春、戻る

春、戻る

図書館本。瀬尾さんによる、春の物語。
結婚をまじかに控えたさくらのもとに、「お兄さん」を名乗る年下の男が現れる。
何この人!でもなんかこの人知っている気がする。いったい誰なんだ?というお話。

読み始めは完全に「そんな変質者みたいな人!ユー、早く警察に通報しちゃいなYO!」
と思うのだが、「お兄さん」の奇妙ではあるが愛情ある行動?みたいのに騙されて読んでしまう…

やがて、主人公が思い出したくなかった思い出のふたが開く!

瀬尾さんの小説を読んでいてはっとさせられるのが、
自分を取り巻く人間の中に、自分を見守っていてくれる人のいることに
ある瞬間気づくということ。
逆に言えば、気づかないことも多いのではないかということ。

瀬尾さんの『幸福の食卓』には、主人公の女の子の苦手な魚をいつも食べてくれる男の子が出てくる。
わたしは彼のことをよく思い出す。
きっと、わたしの知らないところで誰かがわたしの苦手なことを背負ってくれているのだ。