なんだか、



すごく、



ねこが、



見てきます






以下、数冊分の思いなど。


■『オリンポスの果実』は、田中秀光さんの小説。読んでみてびっくりした。オリンピックのため、サンフランシスコに船で向かう選手団内での恋愛の話なのだが、「秋子さん」と主人公の恋愛めいた交流は、ほんの少ししかない。それ以下は、ずっと主人公の頭のなかで勝手に起こっている、頭の中での話がそのまま小説になっている。「果実」もなんだかなー。
おろかしいと言ってしまうのは簡単だが、なにやら熱心に読んでしまう小説。とみきち屋の風太郎さんに聞いたところ、田中光二さんという作家さんが彼の息子にあたり、『オリンポスの黄昏』という本を書いているとのこと。ウイキペディアを見たら、太宰の「カチカチ山」に出てくるタヌキのモデルが、秀光らしいとある(太宰の弟子だった)。カチカチ山…、この話、せつないんですよ。うう。
物静かな若い男性がお買い上げ。


レイモンド・カーヴァーの文庫2冊は、若い女性がまとめてお買い上げ。なかなか動きがなかったので心配したが、2冊とも同じ方にで非常にうれしかった。


■『回文堂』 にこにこしたおじさまがお買い上げ。回文の本は毎回ちゃんと売れる。おもしろいからね。

■『地下鉄少年スレイク』 もす文庫のひそかな定番。もう何回か出している。毎回必ず気にしてくれるお客様が現れる。わたしも一冊も持っている、おすすめの一冊。また探そう。若い男性がお買い上げ。


■冷蔵庫のうえの人生 新刊時代は、帯が角田光代さんだったような…。賛否両論あるが、わたしは好きな一冊。メモで構成された母子の物語。常連さん、お買い上げ。

■『ぐぅぱぁネコみーや』『まこという名の不思議顔の猫』 じっくり一箱一箱見てくださっているご夫婦の、奥様がお買い上げ。2冊まとめて。お友達にあげようかしら?とのことだった。猫、強し。

■『吉野北高校図書委員会』 とにかく甘酸っぱい高校青春小説。図書館、図書室が出てくる本が気になっていたときに見つけた名作。知り合いのお客様(男性)がお買い上げ。


■『とけいのあおくん』 以前一箱でご一緒した方と再会。お話している中で、「おすすめの本ありますか」と聞かれておすすめした絵本。とけいのあおくんが、一生懸命ベルを鳴らす姿に胸を打たれるっていいうか、かわいい。レトロな色合いの美しい絵本。

■『やこうれっしゃ』 字がない絵本、というのが個人的に好きで、見入ってしまう。横長で、寝台車に乗る人々を描いた絵本。ページをめくるごとに時間が経過するさまがおもしろい。知り合いのお客様(男性)がお買い上げ。


■『こねこのしろちゃん』 マヤマックスさんが『しろねこしろちゃん』という絵本の絵を担当されているが、その元の絵本と思われる(ちなみに別の方の絵で、紙芝居も出ている)。太田大八さんの、猫の姿がリアルかつやさしい表情の絵が美しい。絶版。
すごーく探している方がいたら、と思い、高値をつけておいた。とても気に入ってくれた若い女性のお客様がいて、いろいろお話して、少し値引きして売ることになった。欲しいという方の手に渡り、うれしい。




総括

いつもどおり、とくに目玉商品もなく、高額商品もなく、特集もなくというもす文庫。「今回、小説が足りないな…」などと思い、品揃えを変えた回もあったが今回はいじらず。というか、手持ちで出せる分出すというそれだけの話。

わたしがそうなのだが、絵本は知らない作家さんでも買いやすい。気に入ったら買う。しかし小説やエッセイだと、何かしらのカンが働かないと買えない。当たり前だが、きちんと説明することで一押しができる。

この日記を書いているときに考えることなのだが、本の感想を書くのが非常に苦手だ。読んでいない人がいて、運悪くネタバレしてしまったら悪いな、まっさらな状態で読んで欲しいなと思うと、突っ込んだことを書けない。(自分も、他人のブログで本の感想を目にしてしまうときはあるが、自分でコントロールして、読むものと読まずに飛ばすものとをなんとなく見分けている。)

そ、れ、で(切ったことには何の意味もありません)、
特集とはいかないまでも、ざっくりと「〜な本」みたいにカテゴライズするとかして、「この箱のこの本を、店主はどう読んだか?」ということを示せたらいいのかも、と思った。しかしそうすると、「泣ける本」みたいな感じになってつらいだろ?と思ったりなんだり。


しっかしなぁ、売れてない本のラインナップもそんなに悪くないのだよ。


(いつかに続く、かも)




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