アブラクサスの祭

アブラクサスの祭

映画化した話題作。


悩めるお坊さん、浄念は長年薬を飲んでいる。かつては音楽の道を志し、CDも出したバンドマンだった。自分の暮らす村でライブをしたいと言い出して、なんたらかんたら…というお話。



実はこの方の作品を読むのは初めて。名前が難しそうだから内容も難しいのかしらと勝手に思っていたが、わりと読みやすかった。まあまあおもしろかった。


上の適当なあらすじを読むと、「お坊さん!ロック!」みたいな印象だが、実はそうじゃなかった。もちろんその部分は話の肝なのだが、わたしの中でのクライマックスは、三面鏡の前での座禅のあたりだ。「ないがまま」という言葉が印象的。


ほかにも印象的な言葉が出てきて、前半に出てくる「ノイズ」という言葉。自分のあたまの中が騒々しくうまく生活できないから、薬を飲んで「ノイズ」を取り除く、みたな話。それで他人とうまくコミュニケートできるのならいいのだが、それは「自分」なのか。とかなんとか。

そして一番いいなぁと思ったのが、「理解できなくても支えることはできる」という表現。これは浄念が、自分のオクサンがそのように接してくれていると思うところ。オクサンは浄念のことを「きちがい!」と呼びぶん殴ったりするのだが……



ブックオフで購入。