夏への扉 (ハヤカワ文庫 SF (345))

夏への扉 (ハヤカワ文庫 SF (345))


こっちは古本市で売ってしまった。


夏への扉[新訳版]

夏への扉[新訳版]


今度は新訳読もうかしら。



この本ではコールドスリープ、つまり冷凍睡眠が物語のおおきな鍵になっている。小学生のころ家にあった本(たぶん学研の科学とか学習とかの本)で眠らされる話を読んだ。

思い出したついでにもう少し書いておこう。スキー場で調子にのって、コースでない山の反対側に滑っていった「僕」が、ひとりの少女に出会う。ふたりともたぶん設定は小学五年生くらい。彼女の住む小さな村は貧しく、大人たちが「こんな世の中かわいそうだから、子供たちを眠らせて未来に目覚めるようにしておいてあげよう」と思い、村の子供を薬かなんかで眠らせてしまう。「そんなの嫌だ」とたった一人逃げ出した彼女は、「僕」を助けるために、わざと追いかけてきた村人につかまってしまう、みたいな話だったと思う。


はたして、未来にいったからといって、ほんとうに幸せになるのか?


さて。少女は、ほんとうは村の子供たちと一緒に眠りたい気持ちがほんの少しはあったのではないか。「どんなに苦しくても眠ったりせずに自分の目でこの世の中を見ていたい」というようなことを彼女は言っていたような気がする。しかし自分を知る同い年の子どもが眠らされた今、彼女はそのまま起きていてもすでにタイムスリップしたのと同じではないか。

とりとめもなくそんなことを考えていると、なぜかシガニー・ウィバーにわたしの思考はたどり着く。エイリアンとの戦い、戦い、戦いの中で、リプリーの得たものは何もなく失ったものしかない。親愛なるアンドロイドさえ、(以下自粛)。



コールドスリープした男の話。何気に出ているジェミー・リー・カーチスの演技が光る。



ヨミカケ。