わたしを離さないで

わたしを離さないで



再読。
非常におもしろかった。コテージでのルースの態度に腹が立つ。



さてさて、先日、この本の映画を観てきました。
内容に触れるので畳みます。本を読む予定の方、映画を観る予定の方は見ないでくださいね。






結論から言うと残念だった。
タイトルになっている「わたしを離さないで」は、物語に出てくる曲名で非常に重要な要素なのだが、その歌詞を映画では変えてしまっていた。「ダーリン」ではだめだ。「ベイビー」でないと全然だめだと個人的に思う。
そしてロストコーナーの話は完全に省かれていた。省いてほしくなかった。あのエピソードがないと、キャシーとトミーの結び付き、ラスト部分が弱くなってしまう。
あと、ルースが単に「悪」として描かれていたこと。ルースがなぜああいうふうにふるまわなければならなかったのかは、ヘールシャムの特殊性にある。根本的に家族に飢えているがゆえに、彼らは友人であっても友人ではない、もっと密な関係なのだ。ヘールシャム時代をもっと緻密に描いていかないと、物語の軸がぶれるような気がする。


映画で見せるために、伝わりやすいようにあちこち変えなければならないのは仕方ないが、やはり残念である。

とはいえ、キャストは良かったと思う。主演の女優さんとかルース役の女優さんもよかった(トミーはイメージと違ったが)。これだけのキャストがそろったのだから、最低でも3時間ぐらいの長さで撮ってほしかった。ある程度の長さがあれば、キャラクターを単純化しなくてもよかったかもしれない。


全然関係ないが、この映画はなんとなく冬に見たかった。なぜかは不明だが、本を読んだ感じ、この本は「冬」の景色が浮かんでくるような気がするから。